リチャードくんが、いつもの公園にやって来ました。ここに来れば、いつも顔見知りの友達がいるので、リチャードくんは他の公園には行ったことがありません。
公園の桜は満開でした。でも、不思議と友達の姿が見えません。
よく見ると、公園の奥にあるブランコに誰かいます。それは、見たことのない女の子でした。リチャードくんは、その姿を見た瞬間、ハッとしました。
「桜の妖精さんだ…」
リチャードくんは、ドキドキしながら、女の子の隣のブランコに座りました。すると、女の子が話しかけてきました。
「このブランコ、こぐと桜の花びらがふわっーて舞い上がって、とっても楽しいんですよ!」
リチャードくんは、それまで地面に落ちた桜の花びらに気をとめたことがありませんでした。でも、ブランコをこぎながら足元を見ると、桜の花びらが踊るように舞い上がり、今まで見たどんな桜よりきれいでした。二人は笑顔でいつまでもブランコをこいでいました。
次の日リチャードくんが公園に来ると、桜の花はすっかり散っていました。女の子の姿も見えません。友達に聞いてみても、誰も知りませんでした。
「やっぱりあの子は桜の妖精さんだったんだ!」
リチャードくんがふと公園の掲示板を見ると、手書きの紙が目にとまりました。そこには、昨日この公園で、隣街から来たという迷子が見つかったと書いてありました。そして、最後に、幼い字でこう書かれていました。
おにいちゃん あそんでくれてありがと
その日リチャードくんは、遅くまで一人でブランコをこいでいました。そして、足元で舞い上がる桜の花びらを見ながらこう考えていました。
「明日、隣街の公園に行ってみようかな…」
おしまい
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